まだねむれない

日々のことと小説

2024.12.4(水)無敵の犬の夜

2023年の文藝冬号を図書館で借りていたので、返す前にパラパラとめくる。

文藝賞受賞作 小泉綾子『無敵の犬の夜』を読んだ。田舎の中学生の界が、兄貴分の橘さんのために無茶苦茶やらかしていく話。田舎のヤンキー未満な界の世間知らずさが痛々しく、だからこその無茶をスピード感ある文章で駆け抜けていく。読み心地がなぜか妙に清々しい小説だった。界が、東京でとある人を殺す計画を実行するに至った(結局不発に終わる、それもみっともない感じで)要因の橘さんは、憧れに値するほど大したことのないイキッた田舎のヤンキーだったけれど、第二次性徴期の界が、無意識に橘さんに憧れだけじゃなくて恋慕もある(かもしれない)からこその、無茶をやるところの対しての痛々しいほどの一途さを感じた。同級生の女の子に興味はないけれどおっぱいにはどこか神聖さを感じているその純粋性が、かわいく、危うげで、どうなるのかグイグイ読まされた。ラストシーンはまさにタイトル回収、そこで終わるのか、という先が気になる終わり方。ラストに至る展開が急な感じもしたけれど、このラストシーン書きたかったんだろうな、みたいな熱を感じたので読後感はよかった。

 

夜散歩へ。歩いているうちになんか妙にやる気がでてきて、いろいろ計画を立てた。12月はたくさん作品をアップできるようにしたい。その合間に転職活動もすることにした。結局、考えても仕方ないことで、動くことでしか物事は解決しないのだから。夜の空気が清々しくて、無敵の犬の夜のラストを思い出した。

どうせまた病んだりするんだろうけど無敵になりたい。無敵に走って、年末駆け抜けてやりたい。