美術館までの道を歩いていると、ぎゅっとしたさみしさが押し寄せてきて、それはすべて冬の風のせいだった。午後の3時になるとすでに日は傾いて、明るいのにうっすらと陰があってどうしても鬱屈としてしまう。
石岡瑛子展がまもなく終わるので駆け込みで観に行った。展示室の入り口が、鮮烈な赤で彩られているのを観て、妙に胸が躍った。赤い文字で書かれた石岡さんの言葉ひとつひとつが胸に刺さる。細部までこだわり抜かれたデザイン、特に角川文庫のポスター、そして石岡さんのデッサンに心が惹かれた。
コレクション展では、女性作家にフォーカスした展示が行われており、それもまた見応えがあった。
帰る前に、ワインとちょっとしたおつまみが食べられるお店へ。女性一人でも入りやすいのがうれしい。赤の重めが好きなので、産地が違うものを2杯とおつまみを頼んだ。おつまみはサーモンのケークサレとチーズ。ワインもおつまみもおいしくて、気分のいいまま家に着いた。
石岡瑛子展の展示の最後はこの言葉で締めくくられていた。
『最後の瞬間まで表現していたい。』