まだねむれない

日々のことと小説

2024.10.19(土)ウィキッド

ウィキッドを観に大阪へ。観劇するときはいつもよりちょっといい服を着て観るのが好きだ。雨なのが残念。

 

ウィキッドを観るのも、劇団四季のミュージカルを観るのもこれがはじめて。ただ、ウィキッドに関しては10年前から知っていた。当時大学生だった私はその公演を観に行けず、いつか観たいと思ってようやく念願叶っての観劇だった。

 

ウィキッドオズの魔法使いのもう一つの物語。二人の魔女にフォーカスをあてた友情と愛の話。

観劇して思ったのははじめて観る劇団四季の公演がウィキッドで本当によかったということ。舞台演出も音楽もストーリーも全て良くて、想像以上だった。

オズの魔法使いは、私が小学三年生のころ父が誕生日に初めて贈ってくれた本で、思い入れのある本だ。だから記憶に残っていて、ウィキッドで出てきた登場人物とオズの魔法使いのキャラクターがリンクしてより舞台を楽しめたのがよかった。

 

観劇しての感想。エルファバとグリンダは対照的で、仲良くしてるよりも喧嘩してる方が多く、意見も合わない。だけど皆んなから距離をとられていたエルファバに正面から向き合って対等に接してきたグリンダがいたからこそ二人はいつしか唯一無二の存在になっていく。ぶつかり合うからこそ生まれる友情っていい。それが後半にいくにつれ友情以上の深い愛に変わり、今でいうところのシスターフッド的関係性もどこかありながら、最後はそれぞれ別の道をいく、その切ない終わり方がとてもよかった。エルファバもグリンダも好きだが、観劇して一番好きになったのはフィエロだ。プレイボーイだったイケメンが、一途な愛を貫く様なんてみせられたらそりゃ好きになる。(グリンダを除く)全ての人から嫌われているエルファバの強さと優しさに気づき、見た目も全て受け入れて、世界を敵に回してもエルファバを選ぶフィエロ、あんたいい男だよ…。

オズの国にはエルファバを差別したり、動物を喋らないようにさせたりと決していい国とは言えないからこそエルファバとフィエロが国を去ることは仕方がなかった。エルファバが、いい魔女だというのはオズの国では証明するのはとても難しい。そういう意味では、誰からも愛され、愛されることに抵抗がないグリンダだからこそ、オズの国を統治するに相応しかったのだろう。先生を含め、喋れなくなった動物たちを救うことはエルファバにはできなくなったが、魔法の本を受け継いだグリンダがその意思を継いでくれたらいいな、と思っている。(結局そこはどうなったのか描かれてなかった、と思うので…)

エルファバは全員から愛されない代わりにグリンダとフィエロからの愛を得て、グリンダは結婚したいとさえ思っていたフィエロからの愛は得られず代わりにグリンダと国民からの愛を得た。なんとなくだけど、結婚することが幸せとさえ思っていそうなグリンダが、伴侶を得ず女性当主になって自ら国を治めていくの、かっこいいなと思った。グリンダはエルファバが生きていることを知らないが、どこかで生きているんじゃないかと信じていそうだ。遠く離れて二度と会えなくなっても、心を開いて結ばれた友情はきっと宝物のように二人の心の中にずっとあるのだと思う。

 

今日の公演の、エルファバ役は小林さんだったんだけど、歌がうますぎて劇場を完全に支配してた。

特に一幕最後のdefying gravity は心が震えた。抑圧されていたエルフィの魂の解放の歌。自由と決意の歌。素晴らしかった。

 

東京公演は即日完売で、大阪公演も四季の会に入って半年前にようやく1枚チケットが取れるくらいチケット争奪戦だったが、その理由がよくわかった。1回じゃ足りない、もっと追い観劇したい。というか定番の公演にしてほしい。

 

来年、ウィキッドの映画版が日本でも公開になるらしくそれもとても楽しみにしている。